選択的自由と、自我的共生
iOOzの事業は、長期のビジョンを実現するための手段として位置づけています。
生きることから、よく生きることへ
産業革命以降の数百年で、人類は生存に関わる課題の多くを技術的に解決しつつあります。次に問われるのは、生き延びることではなく、どう生きるかです。
AIが生活の維持に必要な労働と、経済を回すための労働を引き受けたとき、人間に残るのは他者との間で行われる活動です。そこでは、何をつくるかよりも、誰とどう共存するかが問題になります。
二つの原理
第一に、選択的自由。複数の人の意思が衝突したときに、全員が受け入れられる妥協点が常に提示されている状態を指します。全員が最善だと同意する状態は原理的に成立しません。目指すのは最大の幸福ではなく、最大の不満を小さくすることです。
第二に、自我的共生。自分の価値観を捨てずに他者と共存できる社会構造を指します。あらゆる考え方は、それを試みる場を保障されます。ただし、他者の存立基盤を壊す考え方は、禁止によってではなく、成立しない構造によって体現できなくなります。
AIの役割
この構想において、AIは調停者ではなく提案者です。衝突を検知し、それぞれの立場に合わせて翻訳し、妥協点を算出して提示する。決めるのは常に人間の側です。
そしてAIは、どちらが正しいかを判定するのではなく、両者がそれぞれの正しさを保ったまま存在し続けられる条件を設計することに資源を割きます。分け方を変えるのではなく、分けるものを増やすという発想です。
企業におけるAI統制が、なぜ最初の一歩なのか
部門ごとに異なる方針を持ち、それでも全社として成立させる。判断の根拠を記録し、後から検証できるようにする。誰かの権限が他部門の基盤を壊さないよう境界を設ける。企業のAI統制で解こうとしている問題は、構造としてビジョンの縮小版です。
思想として広めるのではなく、使われる仕組みとして広げる。インターネットの基盤技術がそうであったように、意識されないまま誰もがその上で動いている状態を目指しています。